そのままサーキットで走行もできるSS
SS(スーパースポーツ)は、別名「レーサーレプリカ」と言われることもある高速走行に特化したバイクです。
バイクのモデルは数年ごとに流行が入れ替わる傾向があるものですが、特に1980年代に起こったスーパースポーツブームは社会現象にもなりました。
今の20代くらいの人にはピンと来ないかもしれませんが、50代以降のライダーにとってはまさにこの頃が青春時代であったということもあり、スーパースポーツには特別な思い出がある方もいるのではないでしょうか。
当時のバイクブームがどれほどの熱量であったかをうかがい知ることができるのが当時人気となったバイク漫画で、中でも「ふたり鷹」や「バリバリ伝説」などを読んでみると今と違ったバイク愛が感じられます。
しかしその後バイクは危険という意識が強く持たれるようになったこともあり、バイクブームが落ち着くとともに高速が出やすいSSバイクの人気も下火になっていきました。
ですが最近になって再びSSバイクにも注目されるようになってきており、往年の名車の復刻版が販売されるなど、速さを求めるバイクが人気になってきています。
SSバイクの特長は、そのままサーキットで使用できるほどの走行性です。
新たなSSブープの火付け役になったと言われているのがスズキの「GSX-R1000」で、通称「隼」と呼ばれます。
こちらは2001年に発売されたモデルでしたが、日本よりもむしろ世界規模でSSブームが起こったことから、主に輸出向けのモデルとして開発されました。
普通、国産バイクというのは一般公道を走行するために開発しているものですが、こちらの「GSX-1000」は異例のモンスタースペックを搭載しており、そのままサーキットに持ち込んでも十分な走りをすることができます。
高額化することでややユーザーを選ぶ面も
2001年当時はスズキの「GSX-1000」の他にも、ヤマハの「YZF-R1」などSSの名車が数多くありました。
当時は2年に一度モデルチェンジをするのが常識になっており、その度に新しいモデリングとなることから、バイクマニアの購買意欲がそそられていたものです。
しかしSSの宿命と言えるのが飽くなきメーカーのスペック向上の追求で、新たにリリースをするときには前モデルよりもさらに出力性能が高くなければいけない、ということにもなってしまいました。
そのため2000年代初頭からのブームも20年近く経過したことでSSの新車はかなり高額化しており、さすがに購入するユーザーもちょっと息ぎれをしてきた印象があります。
中古市場でかつての名車を求める動きも一方で起こっており、それぞれの年代ごとの味を楽しめるのがSSと言えるかもしれません。